two.
「おっじゃまーしまーす!」
「いらっしゃい〜。」
14歳、超不器用だけどなぜか料理だけは出来ちゃう普通の女の子です。(成績悪すぎて死んじゃうけど。)(←前回参照) 今回は同じケーキ大好き同盟(勝手に作った)の仲間、笹川京子ちゃんと一緒にケーキを作ってみようという事になったんで、 今この美しい京子ちゃんの美しいお家に入ろうとしてます。あぁいつ見ても京子ちゃんって可愛いしきれいだし美しいし! ほんとにまったくもう
「おお!極限にようこそ我がボクシング家へ!」
「死ねよお前誰もボクシング家なんかに来てないから。」
この極限男とは似ても似つかないよね!(ボクシング家って何だボクシング家って。) この美しい笹川家でボクシングなんて荒っぽいもんやってんのお前だけだっつの。 「あ!、お前今ボクシングを侮辱したなぁ!?」「いーえ全然。」人の心を勝手に読むな勝手に。
「もうお兄ちゃんたら!ごめんね、ちゃん。」
「ううん!そんな、京子ちゃんが謝っちゃだめよ!」
「そうだぞ!京子は極限に悪くない!」
「うっせ黙れお前。」
「悪いのはお前だ!早く我がボクシング部に入れ!」
「まじ死んで。つかどうして。」
「まぁまぁ!とりあえず入って!」
何でこんなうるさいのこの人、本当に京子ちゃんと同じ血が流れてんのこの人、男ならもう少し(いやもっと)静かに生活できないのこの人、 というかいつまでついてくるのこの人。気になって京子ちゃんに聞いてみたら、うふふっ実はお兄ちゃんも一緒に作るの! って沢田くんが見たら体中の血液が鼻から噴出するんじゃないかと思われるぐらい美しい笑顔で答えてきて、・・・え、一緒に作るの!って、はい?
「俺も極限にボクシングケーキ作るぞー!」(ごおおおおっ)
「お兄ちゃん!ちゃんと真面目につくってね!」
「ごめん京子ちゃん、何も聞こえない。」
「え、本当?耳・・・怪我でもしたの?大丈夫?」
私のくだらない現実逃避を真面目に心配してくれたのはあなたが初めてよ京子ちゃん! いや、それどころじゃないだろう、こんな極限にうざい(あ、うつった)奴とケーキ作りだなんて無理なんじゃないの。 (ボクシングケーキとかまじ意味不明だし!)そうだよ無理だよ!今からそれを正直に言えば京子ちゃんと2人で無事においしーいケーキが作れるんじゃないの!? うん、そうだよ、何事も現実を見なきゃ!えぇそうよ!あんなのにケーキが作れるはずがないわ!
「おい京子ー!この機械はどう使うんだ?」
「あ、それはねー。」
「ってもう始めちゃってるしいいいぃっ!」
「!お前も真面目にやらんか!」
「・・・(うるさいなぁ)その機械何、ケーキ作りにそんなもん使うの!?」
「知らん!俺に聞くな!買い物は全て京子がしたからな!」
「うふふっそれはドリルだよ!」
「・・・はい?」
沢田くんが見たら体中の血液が(以下略)笑顔でそんな物騒な言葉を口にしないで京子ちゃん! ドリルなんてどこで仕入れたの!?って聞いたら(まさか密輸!?いやいや京子ちゃんに限ってそんな事は!) リボーンくんにケーキを作るならこれをもってけって言われたからもらったのって言って(あ、なーんだ。)(ちくしょうあの赤ん坊め 京子ちゃんにドリルなんざ持たせやがって!) とにかくケーキ作りにドリルなんか使わないよ!って言ったら次は極限男の方がパオパオ老師の言う事だから間違いない! とかほざきだして(つーかパオパオ老師って誰!?)「お兄ちゃん、パオパオ老師って?」「我が師匠だ!」あぁそうですか!
「・・・と、とにかく・・・。ケーキ作りにドリルはいらない。」
「え、そうなの!?」「何ィ!?そうなのか!?」
何でこういう事に対しては同じ血が流れてんのこの2人。とにかくケーキ作りにドリルなんて使ったらもうケーキなんて出来っこないから 極限男のごっつくてマッチョな手からドリルを奪ってやった。(なにこれウィーンってなってるよ、あ、怖。) 人1人ぐらい簡単にぶっ殺せちゃいそうなドリルを私はゴミ箱につっこんで、テーブルの上にある小麦粉をボウルの中に入れて、 ・・・へ、これ何。
「・・・おーい京子ちゃーん。」
「なぁに?」
「これって小麦粉だよねぇ?」
「何を言ってるのだ。極限に当たり前だろう!」
「あんたに聞いてないっつの。それより小麦粉って茶色いっけ。」
小麦粉って普通白っぽいんじゃなかったっけ・・・。そう思って京子ちゃんに聞いてみたら、その大きくて美しいおめめをぱちくりさせて 違うの?とか言ってきて、(うわありえねえ!) そしたら次は極限男の方がここにちゃんと“こむぎこ”って書いてあるぞ!とか叫びだしたから見てみたら、 ・・・あれーこれ“みそしるのもと”って書いてあるんですけど。
「これってどう見ても“みそしるのもと”って書いてあるよね。」
「何ィ!?」「えぇっ!?」
「・・・(京子ちゃんまでびびってるし!)」
「で、でも店員さんに聞いたらケーキにはこれを使うって・・・!} 「(味噌汁の素でケーキって!どんな店員だ!?)」
たしかツンツン頭ですごくちっちゃい赤ちゃんだったよ、リボーンくんみたいな!とか笑顔で話す京子ちゃんに それみたいなじゃなくてまさにリボーンくんだと思うよ、ってツッコんであげられなかったのは きっと京子ちゃんのその沢田くんが見たら体中の血液が(以下略)笑顔のせいだと思う。 ごめんね、ってへしょげる京子ちゃんを見てなぜか罪悪感を感じてしまった私は頑張って元気付けようと味噌汁の素でもケーキできるって!ね! とかふざけた事を言ってしまい、本当?ってちょっと潤んだおめめで言われてもうやっぱり無理をか言えそうにもないですほんと。 (あぁ現実を見なきゃいけんのに!) 味噌汁の素でも作れるんだな!?よーし極限ボクシングケーキ作るぞー!とかむしろはりきっちゃってる極限男みてるとまじ泣けてくる。
「うん・・・もういいから味噌汁の素とクリーム混ぜていいよ・・・(本当にいいのかなぁ!?)」
「それは俺がやろう!」
「さすがお兄ちゃん!がんばって!」
「・・・(すごく嫌な予感がする。)」
「極限ー!」 (べしょっばちゃっ)
「ぎゃー!」
「お兄ちゃん!」
飛び散ってます飛び散ってますなんか飛び散ってますお兄さん!真っ白だったクリームは味噌汁の素と混ざってなんか茶色っぽくなってるし、(や、混ぜろって言ったの私だけども!) なんかもうあれだ、うんこが飛び散ってるみたいな。(あ、下品。)まぁ実際そんなわけないんだけど、やっぱり茶色いドロドロしたものがそこら中に飛び散ったり或いは体中に飛び散ったりしている風景はけして気持ちの良い物ではなくて、 ・・・うん、気持ち悪い。そしてその茶色い味噌汁クリームを飛び散らせている張本人、笹川了平くんは、極限ー!とかいって今もなおクリームを飛び散らせつづけている。
「よーし終わったぞ、京子!極限に良い出来だ!」
「死ね死ね死ね死ね何が良い出来なの!?見ろまわりを!」
「む!?おお!そこら中が茶色いな!ますます良い出来だ!」
「・・・(わなわな)まじ1回死んでこーい!」
「わ、ちゃん!お、おちついて!」
クリーム全部飛び散らせて部屋中ぐっちょぐっちょにしといてよく極限に良い出来だ!とか言えるもんなよなぁこの人! そもそもクリームとか小麦粉とかないとケーキ作れないよねぇ!?(ああ小麦粉が無いって時点で諦めた方が良かったのかもしれない。) どうすんの、ぜーんぶパーだよぜぇんぶ!私は今日ここにケーキを作りにきたんですけどね、京子ちゃんと! 誰もこんな極限バカとクリーム飛び散らせ大会とかしにきたんじゃないからね! あぁもうどういう神経してんのこの人!京子ちゃんは京子ちゃんでたまにはこういうのも面白いよ!とかいって美しい笑顔散らせてるし、 まったくもう本当に何が面白いのか全然分からない。
「そうガリガリ怒るな!老けるぞ!」
「なんだと!?そもそも誰のせいで怒ってると思ってんの!?」
「よーし俺に任せろ!この部屋を極限に美しくよみがえらせてみせる!」
「わぁ、お兄ちゃんすごーい!」
「(むりむりむりむり絶対むりだからこの人ー!)」
「きょーくげーん!」 (どんがらがっしゃーん!)
「ひぃーっ!(もういいから大人しくしててよー!)」
美しくよみがえらせるどころかテーブルひっくり返して余計に汚くさせてる極限男を見て、私は生まれて初めて殺人衝動というものを知ったと思う。 (さっきゴミ箱につっこんだドリルで殺せるんじゃないの。) 「よーし片付いたぞ!」「うわぁ、すごいねお兄ちゃん!」何もすごいことないよ京子ちゃん!テーブルもひっくり返っちゃってるしクリームもさっきよりすごい事になってるし、 食器とかも割れてるのあるし、怪獣でも暴れまわったかのようにぐっちょんぐっちょんな部屋でこれからどうすればいいのか分かる人とかいたら、 その人はきっとノーベル賞とかとれると思う。(私があげるわ!) あぁ・・・来た時はつごく美しいお部屋(いやキッチン?)だったのに・・・
「!次は何をすればいいのだ!」
「・・・(ぴき) もういい!私帰る、ばいばいきょーこちゃん!」
「えぇっ!ま、待ってちゃん!」
「何ィ!?途中で帰るとは極限に
「もうお兄ちゃん!ちゃん怒らせるなんて・・・!大嫌い!」
「んなっ」(ががががーん!)
頭からキノコが生えそうな勢いでイジケだした兄をよそに、京子は急いでキッチンを出て、玄関のドアを開け、を追いかけた。 ちなみにお兄さん、笹川了平くんは愛しい妹がどたばたと出て行ってもなお、クリームやら何やらで汚れまくったキッチンで体育座りをしながらイジケていた。 (どころか京子にまで嫌われてしまった・・・!俺はこれからどうやって生きていけば・・・。) 極限的ボクシングバカでも、やはり妹に嫌われてしまったら生きていけないらしい。
***
「・・・(あぁクリームとか服にべたべたついてて気持ち悪い・・・しかも茶色だし。)」
「ちゃーんっ!!」 (だだだだっ)
「え、京子ちゃん!?」
「・・・っあの、えっとっ!あのっね!」 (ぜぇぜぇ)
「うん、うん、ちょっと休もっか京子ちゃん。」
「うんっ、あのねっ、」 (じたばた)
「いいからちょっと休んでください。」
「・・・はぁ。」
「落ち着いた?」
「うん!あのね・・・今度また一緒にケーキ作ろうね!」
「・・・は、」 (ぱちくり)
「・・・お兄ちゃんいると色々邪魔だし、今度は2人で、ちゃんの家で!・・・だめかな?」
「う、うん!もちろん!喜んで!!」
こんな電話でも言えて、しかもそっちの方が楽な事をわざわざ走ってまで言いにきてくれたのかと思うと、さっきまでとはまた違う意味で泣けてくる。 (つーか邪魔って、・・・極限くんかわいそ。)(まぁ本当の事だけど。)笹川家がどういう家族なのかよーく理解したであった。 (親には会ってないけど、まぁ大体あんなんでしょ。)(それより早く家帰って服とか洗いたい。)
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極限くんの扱いがちょっと酷い。 空 (2007.11.17)