すいかのたね
―――― 応接室。
「ねー恭弥ー。」
「何。」
「どうしよう、スイカの種飲っくんじゃった。」
「…だから何。」
「え、だから死んじゃうんだよわたし!もっと悲しんでよ!」
「意味がまったく分からない。」
「んな!ちょ、大切な彼女が死ぬっていうのにどうしてそんなに書類に集中できるの!」
「え、」
「もういい!恭弥なんか書類と結婚しちゃええええ!」
「な、ちょ、!」
(ばたばた、どたんっ!)
―――― 2−A。
「うわああぁあん!聞いてよ並盛トリオオオォ!」
「え、、何並盛トリオって…」
「(こんのクソ女…!)十代目!放っておきましょうこんな奴!それより今日のお昼は
「獄寺あぁあ!聞いてよちょっとぐらい!」
「ぐあああああ!ひっつくなクソ女!クソがうつる!!」
「あっはっは!まぁまぁ獄寺、話ぐらい聞いてやろうぜ。今日はどうしたんだ?」
「さすが山本!実はね、スイカの種飲っくんじゃって、もうどうしたらいい!?」
「「「…は、」」」
「わたしもうすぐ死んじゃうってのに愛しい彼氏は書類に夢中で…っ
う、うぅ、うわあああぁあんっ!」
「まぁまぁ落ち着けって、!な!」
「あ、あのね、、スイカの種食べても死なないから!」
「当たり前だろ!お前それどこで聞いたんだよ!?」
「何言ってんの!わたし5歳のときおかーさんにそう聞いたんだよ!」
「ははっ!面白いお母さんだなー!」
「(山本的ー!!)」
「おいクソ女よく聞け、あのな
「もういいよ並森トリオ!お前らなんか恭弥に咬み殺されちゃえええぇっ!」
(どたばた、がたんっ!)
「んだと!?おいちょっと待てクソ女ァァ!」
「(…あーあー、行っちゃった…)」
「あっはっは!相変わらず面白い冗談言ってくよなーは!」
「「(冗談じゃないとおもう…)」」
―――― 黒曜ランド。
「ちょっと髑髏ちゃん聞…っあらパイナッポーさん!なんで居るんですか!」
「クフ、までその忌まわしい呼び方をするとは…」
「ああもういいです!こうなったらパイナッポーさんでも良いわ!」
「…(ぐすん)で、今日はどうしたんで
「聞いて下さいよちょっとおお!」
「…え、ええ、もちろん。」
「スイカの種飲っくんじゃったんですよ!」
「な!本当ですか!?犬でもしませんよそんな危ない事!」
「うっさいな!(机ばーん!)」
「早くしないと死にます!(机ばーんっ!)お腹にスイカができて死にます!」
「でっすよねーえ!やっぱパイナッポーは話が通じる人だ!」
「そんなのどうでもいいです今は!(机ばーんっ!)」
「お、おおう!?」
「クフフ、知ってますか、実は1つだけ助かる方法があるんですよ。」
「んまじっすか!なになになに!?」
「タダじゃ嫌です、クフ。」
「死ねよ!(急所がきーぃん!)」
「グハッ!ク、さすがですね…!い、良いでしょう、教えます…!」
「うふふ!ありがとうパイナッポー!」
「学校には“保健室”とやらがあるでしょう。」
「うん。」
「そこに行ってお腹を切ってもらいなさい。種を直接出すんです!」
「…わーお!なるほど!」
「クフフ、クハハハハッ!」
「ちょ、むっくん頭良い!天才!どこでそんなん聞いたの?!」
「小さい頃に、イタリアの童話で読んだんです。」
「まじで!いやあもうさんきゅー!大好きよむっくん!恭弥の次くらいに!」
(ばたばた、がこんっ!)
「ねー柿ピー。」
「…何。」
「骸さんって意外と馬鹿なんらねー。」
「……うん。」
―――― 保健室。
「シャマルせんせーえええ!(ばーんっ!)」
「うお!ちゃん!オジサンにチュ
「うっさい!(げしっ)ちょ、腹切って腹!」
「はあ!?何言ってんだちゃん!」
「良いから早くわたしの腹切ってスイカの種出してえええ!」
「そんな事よりオジサンにチューさせてよー!」
「へ、ちょ、え、ぎょえええええええ!」
「ー!(ばーんっ!)」
「きょーや!」
「…僕のに何してんの変態保健医。」
「おおおおおっとお!あっちにかわいこちゃん発見!またねちゃん!(どたばた)」
「あ、ちょ、先生!わたしの腹切ってくださいよ!」
「腹なんか切ったらそれこそ死ぬと思うんだけど。」
「腹にスイカができたらそれこそ死んじゃうじゃん!」
「本当にまったく意味が分からない。だいたい誰から腹を切れなんて言われたの。」
「パイナッポー!もうねえ、あったま良いんだよーむっくんたら!」
「南国果実…いずれ絶対咬み殺す。」
1週間経ってもお腹にスイカができないちゃんは、
種を飲んでも死なないという事を理解した。
「また1つ知識が増えたぞ!わたし偉い!」
「うんうん、そうだね。(馬鹿だこのこ!)」
あほすぎて泣けてくる。 空 (2007.10.26)